コロナ後遺症外来を実施みて感じること
2022年7月から、新型コロナ後遺症外来に、(シンプル)上咽頭擦過療法(Bスポット療法)を本格的に取り入れました。
同年8月に「リビングふくやま」で擦過療法について紹介し、その後中国新聞や広島ホームテレビで取り上げられたこともあり、当クリニックのHPや紹介記事等を見て、来院される方も増えています。後遺症で、擦過療法を開始した患者さんは30人を超えています。
特に、自宅隔離解除後も体調がすぐれず、通常の通勤、通学が難しいということで、発症から1か月も経たずに、「このままじっと我慢していても大丈夫なのか。後遺症にはならないのか」という不安で、「早めに」受診される方が増えたように思います。
WHOでは、「新型コロナウイルスに罹患した人にみられ、少なくとも2か月以上持続し、また、他の疾患による症状として説明がつかないもの(通常はCOVID-19の発症から3カ月経って時点にもみられる)」と新型コロナ後遺症を定義しています。
しかし、学生や家事・育児・仕事で忙しい働き盛りの世代が、通常の生活が送れない状態で、「後遺症かもしれないが、よくわからないので、2か月我慢する」のは、大変つらいことだと思います。当初は、「(発症から1か月以内で)来院するのがすこし早いのでは」と思っていましたが、新型コロナ後遺症を疑い、早めに受診された方に対して、上咽頭炎があることを確認した上で、上咽頭擦過療法を実施すると、2~3回で変化が現れ、1~2か月で症状が著明に改善する症例を何人も経験すると、「早めに受診し、相談されるのもよいのでは」と考えるようになりました。
ただ、全員が全員、順調に改善していくわけではなりません。
1例紹介すると、5月初旬に新型コロナに罹患され、頭痛と倦怠感がひどく、出勤できなくなり、6月中旬に当院を受診され、6月下旬から上咽頭擦過療法を開始された男性は、約4カ月間、週1回の治療を継続し、やっと、10月下旬から職場復帰できるようになりました。
この患者さんの場合も含め、症状が軽快・改善、また元にもどるというサイクルを繰り返しながら、段々良くなっていくように場合が多いように思います。
上咽頭擦過で確認できる出血量が減らない状態では、一時的に症状が改善しても、長続きしない場合が多いので、継続した治療が必要だと思います。
最後に、この間の治療で気づいた点をまとめておきます。
➀「新型コロナ後遺症かも」と思った場合は、つらい症状を我慢しすぎず、早めの受診が良いと思います。
➁ 新型コロナ後遺症に似た症状で、新型コロナワクチン接種副反応を疑い、受診される場合があり、ほとんどが慢性上咽頭炎を発症しています。擦過療法で症状の改善を経験する症例もあります。
➂(シンプル)上咽頭擦過療法は、「週1回、10回実施」が目安ですが、間隔、期間は、個人差があります。一時的に症状が改善しても、出血量が改善していなければ、治療の継続が必要だと思います。
➃ 上咽頭擦過療法に、鼻うがいを併用することで、治療効果が増すように感じています。鼻うがいには新型コロナやインフルエンザの感染予防効果もあるので、当クリニックでは積極的に勧めています。
2022年10月23日 沖野上クリニック 内科 藤原 惠